材質の特徴MATERIALS CHARACTERISTICS

材質の特徴と豆知識

機械加工において、使用する金属材料の特性を正しく理解することは、製品の品質向上やコストダウンに直接繋がります。 快削鋼と普通鋼の違い、ステンレス各種の特性、アルミの強度差、難削材が難削材と呼ばれる理由など、設計や見積りの際に役立つ金属材質の豆知識をまとめました。
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■ 鉄・鋼材

SS400

鉄・鋼材
一般構造用圧延鋼材
アルファベット部分の"SS"はSteel Structureを意味し、400は引張強さの最低保証値が400N/㎟であることを示します。炭素含有量が低い低炭素鋼で、熱処理では硬度を上げることができない鋼材です。流通量が非常に多く安価ですが、錆びやすいという特徴があります。

S45C / S50C

鉄・鋼材
代表的な機械構造用炭素鋼(鉄)
"S"はSteel、"C"は炭素(Carbon)を意味し、数字が炭素含有量(それぞれ約0.45%、0.5%)を表す炭素鋼で、流通量が非常に多く安価です。生材での加工はもちろん、高周波焼入れ等によって硬度を高めることができるため、強度が必要なギヤ、シャフト、ピンなどの機械部品に幅広く使用されます。

SCM415 / SCM435

鉄・鋼材
耐摩耗性と靭性を両立するクロムモリブデン鋼
SCMはSteel Chrome Molybdenumの略で、一般に「クロモリ鋼」と呼ばれる合金鋼です。熱処理により高い強度と靭性を得ることができ、SCM415は浸炭焼入れによって表面硬度と耐摩耗性を高められるため、ギヤやシャフトなどの機械部品に適しています。SCM435は優れた強度と耐疲労性を持ち、高強度ボルトや各種機械構造部品に広く使用されています。なお、SCM415の「15」、SCM435の「35」は炭素含有量(約0.15%、約0.35%)を表しており、炭素量が多いほど高い強度・硬度を得やすくなります。

SUJ2

鉄・鋼材
抜群の硬度と耐摩耗性を持つ高炭素クロム軸受鋼
SUJ2はベアリング(軸受)に広く使用される高炭素クロム軸受鋼です。熱処理(芯部まで硬化する全体焼き入れ)により全体を高硬度化できるため、優れた耐摩耗性と耐疲労性を発揮します。ベアリング部品をはじめ、精密ゲージや摺動シャフトなど、高い耐久性が求められる部品に使用されます。

SKD11

鉄・鋼材
高硬度と優れた耐摩耗性を備えた冷間金型用工具鋼
SKD11は、クロム、モリブデン、バナジウムを添加した耐摩耗性に優れた合金工具鋼です。JISで規格される冷間金型用工具鋼の一種で、ダイス鋼に分類されます。熱処理により非常に高い硬度と優れた耐摩耗性を得られるため、金型やパンチ、ダイスなど、繰り返し大きな荷重や摩耗にさらされる部品に広く使用されます。また、焼入れ後の寸法変化が比較的小さいという特徴もあります。

■ ステンレス

SUS303

ステンレス
優れた切削性を持つ快削ステンレス鋼
SUS303は、オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304に硫黄を添加し、切削加工性を向上させたステンレス鋼です。旋盤加工やマシニング加工に適しており、複雑形状の精密機械部品やシャフト、ねじ部品などに広く使用されています。耐食性はSUS304よりやや劣りますが、優れた被削性により高い加工効率を実現できます。

SUS304

ステンレス
優れた耐食性と汎用性を備えた代表的なステンレス鋼
SUS304は、クロム約18%、ニッケル約8%を含むことから「18-8ステンレス」とも呼ばれるオーステナイト系ステンレス鋼です。優れた耐食性、加工性、溶接性を備えており、ステンレス鋼の中で最も広く使用されています。機械部品、食品機械、建築部材など幅広い用途に使用される、代表的なステンレス鋼です。

SUS316

ステンレス
優れた耐食性を持つ高耐食ステンレス鋼
SUS316は、モリブデンを添加することで耐食性を向上させたオーステナイト系ステンレス鋼です。特に塩分や薬品に対する耐食性に優れており、海洋設備、化学装置、食品機械など、厳しい腐食環境で使用されます。SUS304よりも高い耐食性を持つことが特徴です。

SUS316L

ステンレス
溶接性と耐食性に優れた低炭素ステンレス鋼
SUS316Lは、SUS316の低炭素タイプ(Low Carbon)です。溶接後の粒界腐食が発生しにくく、優れた耐食性と溶接性を備えています。医療機器や半導体製造装置、化学設備などに使用されるほか、「サージカルステンレス」としてアクセサリーや医療用途でも広く知られています。

SUS440C

ステンレス
優れた耐摩耗性と高硬度を持つステンレス鋼
SUS440Cは、高炭素・高クロム系のマルテンサイト系ステンレス鋼です。熱処理により高い硬度と優れた耐摩耗性を発揮し、ベアリング、刃物、ゲージ、金型部品など、高い耐久性が求められる用途に使用されています。ステンレス鋼の中でも最高クラスの硬度を持つことが特徴です。

SUS630

ステンレス
析出硬化処理による高強度・高靭性を両立したステンレス鋼
SUS630(17-4PH)は、析出硬化型ステンレス鋼の一種です。時効処理により高い強度と硬度を得ることができ、優れた耐食性も備えています。航空宇宙部品、バルブ、シャフト、医療機器など、高い強度と耐食性が求められる用途に広く使用されています。また、ステンレス鋼の中でも優れた機械的特性と加工性を兼ね備えていることが特徴です。17-4PHは、約17%のクロム(Cr)と約4%のニッケル(Ni)を含む析出硬化型ステンレス鋼であることを示しています。

■ アルミ・非鉄金属

A1050

アルミ・非鉄
優れた耐食性と加工性を持つ純アルミニウム
A1050は、アルミニウム純度99.5%以上の純アルミニウムです。優れた耐食性、熱伝導性、電気伝導性を備えており、加工性にも優れています。反面、強度は比較的低いことが特徴です。電気部品、放熱部品、化学機器部品、装飾部品などに広く使用されています。

A1070

アルミ・非鉄
高純度による優れた導電性・熱伝導性を持つ純アルミニウム
A1070は、アルミニウム純度99.7%以上の高純度アルミニウムです。優れた電気伝導性と熱伝導性を持ち、導体材料や放熱部品、電子機器部品などに使用されています。耐食性や加工性にも優れていますが、強度は比較的低いことが特徴です。

A5052

アルミ・非鉄
耐食性と加工性のバランスに優れた汎用アルミ合金
A5052は、中程度の強度を持ち、優れた耐食性、成形性、溶接性を備えたアルミニウム合金です。アルミ合金の中でも流通量が多く、ブラケット、ハウジング、カバー類、各種プレートなど幅広い用途に使用されています。また、アルマイト処理との相性も良く、機械部品から筐体部品まで幅広く採用されています。

A2024

アルミ・非鉄
高強度と耐疲労性を備えた超ジュラルミン
A2024は、銅(Cu)を主な添加元素とする高強度アルミニウム合金で、「超ジュラルミン」として知られています。優れた強度と耐疲労性を持ち、航空機部品や輸送機器部品など、軽量化と高い強度が求められる用途に使用されています。

A7075

アルミ・非鉄
鉄に匹敵する強度を持つ超々ジュラルミン
A7075は、亜鉛(Zn)を主な添加元素とする高強度アルミニウム合金で、「超々ジュラルミン」として知られています。アルミニウムの軽さを維持しながら、鉄鋼材料に匹敵する強度を持つことが特徴です。航空宇宙部品、スポーツ用品、ロボット部品など、軽量化と高強度が求められる用途に広く使用されています。

C1100 (純銅)

アルミ・非鉄
優れた導電性・熱伝導性を持つ純銅
C1100は、純度99.9%以上の純銅(タフピッチ銅)です。優れた電気伝導性と熱伝導性を持ち、電気部品、端子、バスバー、放熱部品などに広く使用されています。また、耐食性や展延性・曲げ加工性にも優れており、非鉄金属の代表的な材料の一つです。一方で、粘りが強く展延性が高いゆえに、切削ではバリや構成刃先が発生しやすく、精度を出しにくい材料としても知られています。

C3604 (真鍮)

アルミ・非鉄
優れた被削性を持つ快削黄銅
C3604は、銅と亜鉛を主成分とし、少量の鉛を添加することで被削性を向上させた快削黄銅(真鍮)です。切削加工に優れており、精密なピン、バルブ、継手、コネクタ端子などの量産部品に広く使用されています。また、良好な導電性と美しい金色の外観を備えていることも特徴です。

■ 難削材・高難度加工

チタン (純チタン / 6-4チタン)

難削材 (高難度加工)
軽さ・強度・耐食性を兼ね備えた高機能金属
純チタンは優れた耐食性と生体適合性を持ち、6-4チタン(Ti-6Al-4V)はさらに高い強度を備えたチタン合金です。鉄の約6割の軽さでありながら高い強度を持つため、航空宇宙部品、医療機器、スポーツ用品などに使用されています。一方で熱が逃げにくく工具摩耗が大きいため、切削加工が難しい材料として知られています。

インコネル (Inconel 718)

難削材 (高難度加工)
過酷な高温環境に耐えるニッケル基超耐熱合金
インコネル718は、ニッケルを主成分とする析出硬化型の超耐熱合金です。高温環境下でも優れた強度を維持し、耐酸化性や耐食性にも優れているため、航空機エンジン部品、ガスタービン、宇宙機器などに使用されています。加工硬化しやすく工具摩耗も大きいため、代表的な難削材として知られています。

ハステロイ (Hastelloy C-276)

難削材 (高難度加工)
最高クラスの耐食性を誇るニッケル基合金
ハステロイC-276は、ニッケルを主成分にクロムやモリブデンを添加した高耐食ニッケル基合金です。塩酸や硫酸などの強酸環境や塩化物による腐食に対して優れた耐性を持ち、化学プラント、環境設備、海洋機器などの過酷な腐食環境で使用されています。高い靭性と耐食性を持つ一方で加工硬化しやすく、難削材として知られています。

スーパーインバー

難削材 (高難度加工)
熱膨張が極めて小さい高精度特殊合金
スーパーインバーは、熱膨張係数が一般的な鉄鋼材料と比較して極めて小さい特殊な合金です。鉄にニッケル、コバルトを加えた合金であり、特に室温付近での寸法安定性に優れています。そのため、高精度な測定機器、光学機器、半導体製造装置、宇宙開発関連部品など、温度変化による寸法の狂いが許されない精密機器に使用されています。加工硬化しやすく、熱伝導率が低いため工具摩耗も大きく、難削材として分類されています。